<結 成>〜全ては宴会芸から始まった......

1999年冬、大分にあるブルースバー。常連客であったエースカツリーはいつもの様に数人と麦焼酎を片手にいかしたロックに耳を傾けていた。ここは大分のミュージシャンが集まる「わかったお店」その名もブルーベイブ。オーナーの秀(しゅう)ちゃんはKISSの世代でなく、こよなくブルースを愛するギタリスト。そんなお店での会話から「KISSa」が誕生するなんて誰もが予想していなかった。
 
 ブルーベイブは大分に店を構えて今年で20年になるという。そして店の主催で毎年バンドのパーティを開くのが恒例になっていた。エースカツリーはその恒例のパーティで自分自身の「出し物」を練り込んでいたのだ。このパーティばかりはブルース好きのオーナーの意見もとおりにくく、いかにバンドで「笑わせたもん勝ち」で一等賞をきめるという楽器弾きだけの宴会だったのだ。

「お前今年何やる?」
「そーねー、モー娘なんてバンドでやったおもろいかも。お前は?」


などと言った会話をつまみに酒を飲んでいる席にエース、そしてKISSaの初代ポールだった「ポールアダリン」が偶然居合わせたところから、話が始まる。

エース「あだりん、おまえ何やる?」
アダリン「決めてねーよ。カツリー(この時まだエースカツリーではなかったが、本名で表記するとイメージを損ねるのであえてエースカツリーと表記させていただく)は?」
エース「........なにか大掛かりなことやりたいんだけど......そー言えばアダリンって胸毛あったよなー」
アダリン「あるよ。」

だいたいの方はこれでお分かりだろうが、ポールアダリンの胸毛がヒントで「KISS」をフルメイクフルコスチュームでやることになったのだ。

エース「どう?この構想」
アダリン「胸毛でポールの気持ちは分かる。いいけど俺ギター弾けないよ!」
エース「えっ!?」

そう、アダリンはドラマーだった。でもポールばりの胸毛だけはある。この胸毛さえあれば.....何とかなると確信してやまないエースだった。そして翌日から他のメンバー候補への誘いの電話をかけまくるエースがいた。彼の構想の中にはドラムは最初から「ピータークリス満(マン)」へ依頼することが決まっていた。クリス満は幼いときからピーターを崇拝していた大分でも選りすぐりのドラマーで、さらに風呂場でキャットメイクを趣味で行うことで有名だった。

エース「クリス満、そう言うことで頼むよ。」
ピーター「いいよ!後のメンバーは?ベースはどうすんのよ?」

そう、問題はジーン役だった。世の中ジーンシモンズを崇拝しているベーシストなど、そうそういない。しかも歌えなければいけない。エースは頭を悩ませていた。その時である!もともとエース&ピーターとバンドをやっていたキーボード奏者が頭に浮かんだ!
 
「あいつなら...汚れ役をひきうけてくれるに違いない......」
そう、後のジーン社長である。彼はこのときベースがほとんど弾けなかった。しかも歌と言えばバンドのコーラスか、カラオケボックスで「ボヘミアン」を歌うぐらいで、ほとんどしゃれ程度。しかし彼の汚れ役に対するガッツは採用するに値した。

エース「あのさ、今度のパーティでKISSしようかと思うんだけど........」
ジーン「いいよ。もうDUECE練習中。」
エース「!!!」

ジーンはポールアダリンから連絡を受けて、既にベースを入手しジュースを練習していたのだ。そしてギターの弾けないアダリンの影役で、ギタリストをもうひとり起用し、ここに初代KISSaのメンバーが誕生したのだ。
しかし問題は山積みだった。まず衣装である。裁縫経験のない彼らは衣装の素材からしてズブの素人。本家の写真を見ながら大体のイメージで計画は進むが、パーティの余興ぐらいでそんなに予算もない。でも素材は全てシルバーである。そこで考えたのがホームセンターで売っているキッチンの茶箪笥の下に敷くきらきらした素材である。ほとんどのKISSトリビュートバンドが最初に選ぶ素材として有名だ。

そしてメイク道具。一体何を使ったらいいものか模索し、金をかけてドウランを化粧品屋で買い込んできた。さらに「髪の毛」。メンバーの中にはハゲ上がりそうなやつもいて、ズラを買わなければいけなかった。

そんな苦労を積み重ね、コスチュームが完成。
そして最初に選んだ曲のメニューが以下の通り。

1,DUECE
2,Rock'n Roll All Nite
<アンコール>
3,Shout It Out Road

このニューを見て気になるあなたはKISS通。ポイントは2点ある。
ひとつはDUECEのラストのフロント3人の「振り」。
そしてRock'n Roll All Niteのギター折りである。演奏はともかく、「宴会芸」であるからには、ウケなければならない。DUECEのラストのフロント3人の「振り」はいいものの、問題はギタリストでないポールアダリンが折る用のギターをどうやって手配するかだ。

エース「折るためにギター貸してくれる奴なんていねーよ。どーすんの?」
アダリン「.............作る!」

そう!アダリンは当日までにフライングVをミラーピックガード付き、しかも弦まで張って作ってきたのだ。偶然にもアダリンはそういうのが得意な仕事をしていた。

そしてリハーサルも終わり、大量のキッチンシルバーマットを身にまとった「KISSa」はここにファーストライブ........いや、宴会を無事大盛況に終わらせたのだ。


<そのうちアップする今後に続く>